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原大介の個展によせて 『瞬間と永遠を描く』

清水康友氏に執筆していただいた評論文です

『瞬間と永遠を描く』

 

 

 原大介の作品は様々に展開し今尚変容を続け、その画面には常に瞬間と永遠が描き出されている。不変と可変の鬩ぎ合いは、新たな創造の起爆剤ともなり得る。

 

 彼は、1960~1970年代の挑戦的な美術に刺激と影響を受けつつ、独自の表現を生み出すべく格闘してきた。そして今自身の創成した美が、先人達の歩みに連なるものであると思い至ったという。

 

 だが、作品の内奥に宿る深い思索と濃やかな情感、強靭な画面に躍動する熱情とスピード感は、彼独自のものである。時に大胆な、時に慎重なストロークが生み出す痕跡からは時の堆積が、表層に示される激しいパッションには瞬間の動きの内包が見てとれる。今回は、新たな思考のものに選ばれた色彩が加わり、自身の表現が更に推し進められた。

 

 

                         2020.9 清水康友(美術評論家)